広報にしか届けられない「声」があると信じて


こんにちは、PRコンサルタントのあわがあいです。

WORKINGFOREVERの西澤さんとのご縁は、新卒で勤めた総合代理店時代に始まりました。お互いがその会社を卒業した後も、変わらず連絡を取り合い、時にはお手伝いをさせていただいたり、私のコーチング資格を活かしてセッションをさせていただいたりと、今でも深いつながりを持たせていただいています。


西澤さんは私にとって、何でも話せる先輩で、どんなときも笑顔で前向きな西澤さんの姿勢には、何度も救われてきましたし、背中を押してもらうこともたくさんありました。「WORKING FOREVER」という理念に触れるたび、その言葉の持つ力強さに心から共感すると同時に、こんな素敵な考え方を掲げる西澤さんと歩めることを幸せに感じています。


私のこれまでのキャリアは、総合広報代理店、大手総合企業の企業広報、そして昨年11月からはスタートアップ企業の広報と、少しずつ形を変えながら進んできました。それぞれの職場で求められるスキルは異なり、年齢とともに自分に期待される役割も変化していることを実感しています。今日は、これまで培ったスキルや広報の現場で感じたことについてお話ししたいと思います。

広報への第一歩:代理店時代に学んだ基礎力

大学で広報学を専攻していた私は、「広報」を軸に就職活動を行い、総合広報代理店に入社しました。そこでは営業セクションに所属し、卒業するまでクライアントと向き合いながらPR戦略を立案する仕事に注力していました。当時は、代理店の営業職として、以下のスキルが必要だと感じていました。


・クライアントのビジネスや課題を深く理解する洞察力

・相手に寄り添いながらも効果的に提案を行うコミュニケーション力

・プロジェクトを形にする推進力と実行力

代理店の仕事は、クライアントからの依頼を受けて始まります。しかし、企業内部の温度感や力関係、今後の事業展開など、代理店の立場ではどうしてもリーチできない情報があるのも事実です。それでも、代理店だからこそできることはたくさんあります。


まず、企業の広報担当者が見ているであろう外部情報を積極的に入手し、リサーチに力を入れました。最新の動向だけでなく、これまでの歴史や背景にも目を向け、とにかくそのトピックについて誰よりも詳しくなることを目指しました。提案が採択されるかどうかに関係なく、リサーチを深めることで自然とアンテナが立ち、その企業やプロジェクトに対する愛着が生まれてきます。その愛着を熱量に変え、提案時にはコミュニケーションでそれを存分に表現することを心がけていました。


また、提案した業務を「やり切る」ことも非常に重要です。営業として社内のスタッフのモチベーションを管理しつつ、最後の報告まで責任を持って遂行する実行力は欠かせない要素でした。このようなプロセスを繰り返すことで、信頼関係を築くとともに、自分自身のスキルを磨いてきました。


代理店での経験は、多くの業界に触れる貴重な機会を与えてくれ、自分の視野を広げるとともに、社会人としての基礎力を築く場となりました。この期間は、私にとってかけがえのない時間であり、現在のキャリアの礎となっています。


出産がきっかけで踏み出した事業広報の世界

事業広報へ転身したきっかけは、子どもの出産でした。出産を経て、「広報を通じて社会に貢献したい」という思いが一層強くなった私。代理店では、小規模クライアントも合わせると同時に10のプロジェクトや企業の担当をするなど多業界のPRに関わることができましたが、直接「世の中の幸せ」や「社会貢献」を届けているという実感する機会は少なかったと感じています。


企業広報では、大手総合企業の広報担当として、幅広いライフ領域のPRに取り組みました。特に、新卒採用や中途採用、副業など「働く」を軸としたHR領域の広報や、中小企業を支援するSaaS領域、さらに旅行や進学など、世の中の人々の日々の営みや幸せに直結する事業の広報を経験しました。これらの活動を通じて、広報の仕事が社会に貢献しているという実感を持ちながら仕事に向き合うことができました。企業のブランド力が大きな助けとなり、記者の方々とのコミュニケーションも比較的スムーズに進みましたが、それ以上に求められたのは以下のスキルです。


・自社の事業を深く理解する力

・社会的文脈を踏まえた企画力

・複数部署と連携しながらプロジェクトを推進する力

・自分自身の価値観を持ちながら広報活動に臨む姿勢


代理店営業時代には触れることができなかった「自社の情報」に、広報担当として自由にアクセスできる環境は本当にありがたいものでした。しかし、それゆえに自社の事業企画や営業担当の方々が築いている現場の状況や事業方針を深く理解するためには、ある種泥臭い自発的な行動が常に求められました。また、事業長や総研長など、事業の要となる方々との信頼関係を築くことは、それ以上に重要だったと感じています。

企業広報の役割は、単なるサービスのPRではなく、「この事業が社会にどのような貢献をしているのか」という「社会的な意義」を伝えることでした。そのため、日本国内だけでなく、世界で注目される社会的な潮流や法改正の動きを常にウォッチし、事業と社会との接点を模索する日々が続きました。複数部署との連携や調整はもちろん必須で、6年間を通じて私の中心にあり続けたのは、「自分自身はこの事業をどう社会に広報していきたいのか」という「Will(意思)」でした。この「Will」を持ち続けることで、自分の興味関心が刺激され、常にフレッシュな気持ちで仕事に向き合うことができたのだと思います。

コーチングに出会ったのは2022年。コーチング仲間とのひとときは常に癒しの時間。広報とコーチングを掛け合わせた広報コーチングを始めました。記者さんとお話する際にすごく活きるスキルです。


家族がくれた転機:スタートアップへの挑戦

現在、私は3社目となるスタートアップ企業の広報に携わっています。この転職のきっかけは、実は「子どもたち」でした。私は3人の子どもに恵まれましたが、ちょうど長女が小学1年生を迎えた頃、大企業ならではの「スパルタな働き方」を続けていた私に娘から「待った」がかかったのです。愛着のある会社であり、ここで働き続けるものと思っていましたが、出張が多く、朝食中に出社し、帰宅後もスマートフォンを手放さない私の姿に、娘は耐えられなかったのだと思います。この大事な時期に、娘の心を大切にしなければと強く感じ、新しいチャレンジに踏み出すことを決めました。

前職での最後の1年間は出張続きでした。キャリアの上ではいい経験でしたが子供たちには我慢してもらっていましたね。


現在、私は3社目となるスタートアップ企業の広報に携わっています。この転職のきっかけは、実は「子どもたち」でした。私は3人の子どもに恵まれましたが、ちょうど長女が小学1年生を迎えた頃、大企業ならではの「スパルタな働き方」を続けていた私に娘から「待った」がかかったのです。愛着のある会社であり、ここで働き続けるものと思っていましたが、出張が多く、朝食中に出社し、帰宅後もスマートフォンを手放さない私の姿に、娘は耐えられなかったのだと思います。この大事な時期に、娘の心を大切にしなければと強く感じ、新しいチャレンジに踏み出すことを決めました。


38歳、マネージャー経験なしの私。不安だらけでしたが、ありがたいご縁に恵まれ、スタートアップ企業の広報の世界に足を踏み入れることができました。


大手企業時代に支えられてきたようなブランド力が小さい環境での広報活動は、これまでとは全く異なる視点やスキルを必要としていると痛感しています。正直なところ、企業の名前が変わっただけで、メールの返信や記者さんからの反応がこれほど変わるものかと驚く日々です。前職での6年間、企業ブランドの恩恵を受けていたことに改めて感謝すると同時に、自分がそのブランド力に頼りすぎていた部分があったのではないかと反省しています。


そのような環境の中でも、「この情報が世の中の誰かの幸せにつながる」という信念を持ちながら、広報活動に向き合っています。スタートアップ企業で広報担当者に求められるのは、単なるPR活動に留まらず、経営やプロダクトの成長に直結する広報の在り方を模索し続けることです。また、中長期的な戦略を描きつつも、日々の情報発信を継続し、機会を逃さず成果につなげる実行力も欠かせません。


スタートアップというチャレンジングな環境だからこそ得られる学びがあり、それが自分自身の成長につながっていると感じています。この経験を通して、広報の新たな可能性を切り開いていきたいと思っています。スタートアップでは特に、以下の能力が重要だと感じています。

・限られたリソースを活用し、成果を最大化する創造力

・経営陣と目線を合わせ、戦略を共有するコミュニケーション力

・変化の激しい環境で柔軟に対応する適応力


リソースに限りのある環境だからこそ、経営をサポートできる広報とはどんなことなのか、ということを軸に優先順位をつける力が必要だと日々感じています。まだ経験して数ヶ月ですが、広報の領域はここ、ブランディングはここ、などと決めつけず、自分の「Can」を増やす絶好の機会だと思い、今はできることに手と意識を伸ばしていこうと感じているところです。

15年間広報に向き合い続けた理由

社会人になって15年。そのすべてを広報という仕事に向き合い続けた日々でした。それでも、自分自身の広報力にはまだまだ課題があり、悔しい思いをすることも少なくありません。特に、代理店時代にメディアとの直接的な接点が少なかったことをコンプレックスに感じており、これからも記者目線、そして記者が見つめる消費者に本当に届けるべき情報とは何かを考え続ける必要があると痛感しています。


そんな悔しさを抱えながらも、私が広報を続けている理由。それは、この仕事には「これさえやれば絶対に成功する」という公式が存在しないからかもしれません。公式がないからこそ、常に挑戦を求められ、試行錯誤を重ねる日々が続きます。自分自身の役割を見出し、成果を作り上げていく過程には、広報ならではの醍醐味が詰まっています。


さらに、広報がいなければ届けられない「声」があると信じています。その「声」が記者を通じて発信されることで、誰かの幸せにつながり、社会のためになる。広報は、その唯一無二の役割を担う存在です。だからこそ、広報という仕事はこれからも必要とされると確信しています。


広報の仕事は、企業のフェーズや規模によって求められる役割やスキルが大きく異なります。そうした変化に柔軟に対応しながら、自分自身の成長を続けることができるのも、この仕事の魅力の一つです。これからも広報の可能性を信じ、新しい挑戦を楽しみながら、この仕事に取り組んでいきたいと思っています。


長文、お付き合いいただきありがとうございました。次回は、広報×コーチングの力について書いていきたいなと思います。これからもよろしくお願いします!


この記事を書いた人は・・・

あわが あい

Communication Lounge - COLORS 代表/PRコンサルタント・広報コーチ


大阪府大東市出身。大手PR代理店を経験後、大手総合企業の企業広報に転職し事業広報を経験。HR領域、SaaS領域、旅行領域、進学領域など、ライフ領域に関わる業界の広報を経験。24年11月よりカレンダーシェアアプリを提供するスタートアップ企業へ転職。コーポレート広報を中心に広報の幅を広げるべく仕事に従事している。22年2月にコーチングを提供するため、Communication Lounge - COLORSを設立。「幸せ溢れる世の中にしたい」という信念の元、広報コーチ、親子コーチとしても活動中。長男、長女、次女の3児の母でもある。

「MY FAVORITE PR WOMAN(マイ フェイバリット ピーアール ウーマン)」は、ベテラン、中堅、新人etc…、さまざまな角度・視点で広報・PRという仕事を見つめて、リレー形式に綴っていくお仕事コラムです。

MY FAVORITE PR WOMAN

ベテラン、中堅、新人 etc...。さまざまな立場のPRウーマンたちが、それぞれの視点から見た「PRという仕事」について綴る、リレー形式のお仕事コラム🖋

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